「仕事ができる人」と「昇給できる人」との違い

最近になって、日本の社会人の方から、「グローバルな環境でバリバリ働いているのに、さっぱり昇給しない・・・」という声をよく聞くようになりました。


ここで、「グローバルな環境」と言っているのは、次のようなケースを想定すれば良いですね。

  1. 外資系企業で働いている場合
  2. 外国人社員の多い日本企業で働いている場合
  3. 多くの国からの出身者がいる組織に所属している場合

なぜ、「グローバルな環境でバリバリ働いているのに、さっぱり昇給しない」という人が増えているのでしょうか?

 

その理由は、業務の指揮命令系統だけでなく、人事や処遇の評価体制までもがグローバル化しているという流れにあります。 そして、この流れの中にあって、上手く順応できない日本の社会人の評価が下がっているのです。

 

もう少し詳しく説明すると、従来は、何だかんだ言っても、人事や処遇は各国の裁量に委ねられることが多かったのですす。 特に、日本ではそうでした。 日本の場合、年功序列の給与体系の名残があったり、新卒で採用して自社内で育成しようとする傾向が強い・・・等々、独特な労働慣行が多いと思われていたのです。 しかし、今や、ことの善悪は別として、人事や処遇も世界レベルで一元的に管理される時代に急速にシフトしています。

 

このグローバル化の流れの中では、「仕事ができる人」というだけでは、「昇給できる人」(「評価される人」)にはなれない。 つまり、「プラスアルファの要素」が必要になっています。

「昇給できる人」に必要なたった1つの要素

「プラスアルファの要素」を理解するために、人事や処遇の評価体制がグローバル化する意味を、簡単な例で見てみましょう。 きっと、思ったより身近に感じられると思います。

例えば、組織全体として昇給の枠が2名分あるが、候補者として、日本のAさん、中国のBさん、インドのC さん、USのDさんの4人がリストアップされている状態を想定します。 数値化出来る項目だけで決まれば話は単純ですが、そうは行かないのが現実であって、最終的には、関連する管理職が集まって話し合いにより4名の順位付けをして上位2名を昇給させることになるでしょう。

 

その際に何が重要であるかは明らかです。 それは、集まった管理職に候補者がどのように見えているのか(認知されているか)です。あなたの名前は、、集まった管理職によく知られていますか? あるいは、彼らにとって初耳なのでしょうか? 評価される立場としては、よく知られている方が圧倒的に有利です。 つまり、他の部門の人達にどのように見えているか・・・。  これが、業績評価などで決定的に重要で、英語では、これを、”visibility”と表現します。 (訳としては、「認知度」とか「知名度」。)

 

実際にこのような例がありました。

 

外資系の日本法人に所属していたある技術者は製品知識の面では右に出る人がいない専門家で、日本法人の中では超有名人でした。 毎年、直属の上司から業績を高く評価され、昇給候補リストに載るのですが、数年に渡り昇給することはありませんでした。 本人も何となく居心地の悪さを感じたのでしょう、結局、転職してしまいました。

 

この技術者の場合、活躍が国内に留まっていて、他国の管理職には、その存在や活躍が見えていなかったのです。 要するに、この技術者の場合、製品知識、技術力、顧客対応力等の他の要素は全く申し分ないのに、認知度(”visibility”)のみが欠けていたのです。

昇給に必要な認知度を上げるには?


「認知度」について、もう少し深く考えてみましょう。 そもそも、組織の中で何が認知度を決めるのでしょうか? 

 

その答えは、「会議での存在感」、及び、「説得力のあるライティング」です。

 

「それ、本当?」と疑問に思う方は、試しに、隣の課の対象的な二人を頭のなかで思い描いてみて下さい。「〇〇さんについては、名前もよく聞くし何の仕事をしているかも知っている。」 逆に、「▲▲さんは、名前を聞いた覚えはあるが、何をしている人かは知らない。」

 

何か、あなたの二人に対する認知度の差を生んでいるのかと考えると、上の答えには納得感があるのではないでしょうか。

 

更に、我々日本人にとって大事なことは、グローバルな環境で働いている場合、「会議」も「ライティング」も英語で行うことが大前提になっていることです。 嫌だけれども、逃れようのない大前提です。

 

つまり、どんなに仕事ができる人でも、大前提である英語での表現力が不足していると、たったそれだけの理由で、「会議での存在感」も発揮できないし、「説得力のあるライティング」も出来ません。 結果的に、「認知度」が高くなることはなく、あなたほどに仕事はできないが、英語に関してはずっと得意な人に、処遇の面で先を越されてしまうのです。

 

それは何としても避けたいですね。 

こうなると、「昇給できる人」どころではありません。


さて、認知度に影響を及ぼす「会議」と「ライテイング」に関して、もう少し具体的に考察してみましょう。 仕事の内容にも依りますが、次のような7つの状態を英語を使って実現出来ている方の認知度は間違いなく高いと考えられます。 一見、大げさに聞こえるかも知れませんが、グローバル環境でバリバリ働いている人にとっては、明日にでも必要とされて不思議でないものばかりです。

 

まず、会議(電話会議を含む)では、

  • 会議では必ず発言する。(ご存知のように、「沈黙=愚か」が英語圏の発想です。)
  • 出席者としてだけでなく、テーマに依っては、会議をセットアップ(主催)したり、議論を仕切ることもある。

 

次に、ライティングでは、

  • 論旨構成がしっかりしており、他の人に転送されたり、後日読み返されても、もともとの意図が正確に伝わる。
  • 切羽詰まった状況で緊急の依頼をする場合、用件だけでなく、理由や現場の「温度感」を適切に表現することで、相手の真剣な対応を引き出せる。
  • 途中で話が行き違ってしまった場合、相手を悪者にすることなく、軌道修正することができる。
  • 一方的な要求や主張ばかりでなく、相手の事情を理解しつつ、全ての選択肢を検討の対象にできる。(これは、議論を通しての信頼関係構築には欠かせません。)
  • 直接の担当者間では行き詰まってしまって、それ以上の進展が見込めない場合、上位の役職者の判断を仰ぐ場合があります。 (英語で言うところの”escalation”です。) その際に、客観的な事実関係、経緯、一致点と相違点、依頼内容を簡潔に表現できる。

 

では、この7つ状態が実現できるようになると、あなたはどうなるのでしょう?

 

あなたの直属のボスにとってあなたは、「仕事を任せられる頼りになる存在」になります。(英語で”go-to person”と言いますね。) そして、それにともなって、組織内でのあなたの認知度は確実に上がります。そして、面白いことには、認知度が上がってきていることは、次のような現象からあなた自身にも伝わります。 

  • 先ず、メールで意図が伝わらず、ピント外れの返事を貰うことがなくなります。また、急いでいるのに、のんびりした対応をされることもなくなります。
  • 次に、あなたの名前が、会議やメールなど色々な場面で言及されることになります。例えば、本当はある活動のことを指しているのに、メールの中で"the effort led by Tanaka-san・・・"などと、あなたの名前の連想として語られることも起こります。 
  • 究極の姿としては、海外から、「本音の相談」を持ちかけれることがあります。  ”I just wanted to ask for your insight.”という感じで、他の人には内緒で、あなたの個人的な見解を聞いてくるのです。 つまり、面倒なことに巻き込まれた時に、「困ったな。そうだ、〇〇さんに聞いてみよう・・・」と、心を許して頼れる相談相手として名前を思い浮かべてもらえる状態です。

ここまで来ると、もはや、「処遇で損をするかもしれない・・・」などと思うことはありません。 むしろ、あなたの活躍の場を広げてくれた英語に感謝したい気持ちになるはずです。

 

逆に、あなたが、上の7つの状態を達成できていないのであれば、早急に解決しておく必要があります。 なぜなら、これらの状態を達成しても、大きな組織に所属している場合は、

組織内の認知度に反映されるまでには、ある程度の時間がかかるからです。 これは、短縮しようがありません。

 

では、以下、それら7つの状態の実現を可能にするスキル(技能)を最短で身につける方法をご紹介します。 必要とされるスキルは大きく2つに別れます。

  • 業務上のスキル(経験、技術知識など)
  • 英語のスキル

ここは業務上のスキルを論じる場ではありませんので、専ら、「英語のスキル」に焦点を当てます。 実は、同じ英語とは言いながら、会議の場とライティングでは、かなり違うスキルが求められることが分かります。

  • 会議に必要な英語のスキル: 会議は、基本的には会話としての側面があり、「リスニング」と「瞬発力」が重要になります。 (「瞬発力」とは、既に知っていることや頭では理解していることが、無意識にとっさに口をついて出ることです。) 反面、その場で双方向に聞き返したり言い直すことが出来ますので、「言葉としての正しさ」(文法)は、それほど問われません。
  • ライティングに必要な英語のスキル: ライティングは、会議と真逆の関係にあります。 「言葉としての正しさ」が致命的に重要で、信頼感&説得力に直結します。 さらに、メールでも文書でも記録として残り後々まで参照されるという宿命があり、「言葉としての正しさ」が際立ってしまうのです。

それに加えて、現時点での英語力も、一人ひとりが異なった状況にあります。 そうした条件下で、不足しているスキルを高めることで、必要とされる7つの状態を最短で実現する方法としては、「英語コーチング」という手法をベースにしたトレーニングが最適です。