英語を日本語にする場合、「スラッシュ・リーディング」と呼ばれるやり方があります。(厳密には、「サイト・トランスレーション」と呼ぶのが正しくて、「スラッシュ・リーディング」はその一部の構成するものです。) 呼び方はともかく、英語の速読の訓練には欠かせないものです。


ひとことで言うと、「英語の原文を目に入った単位ごとに口頭で翻訳すること」です。速読するため、日本語としての洗練度は犠牲にしても、訳す過程で原文を遡るのを最小限にしようという考えです。通訳になるための訓練法の一つですが、通常の英語学習においても非常に有用です。
原文 → The problem which was reported by the customer last week does not reproduce here.
先ず、目を左から右に動かしつつ、キリの良い固まりにスラッシュを書き込むことで区切っていきます。 キリの良い固まりとは、文の中の主要な要素(主語、動詞、目的語、補語)や長い修飾語などです。(この段階のことを、「スラッシュ・リーディング」と呼びます。)
区切った結果 → The problem / which was reported by the customer last week / does not reproduce here.
次に、以下に留意しつつ、口頭で翻訳していきます。
• 区切りの順を守る。
• 各々の固まりの中での語順は前後してもOK。
• 日本語として成立するように、状況に応じて適当な語を付け加えて訳す。 「つまり」、「~と言うのは」、「それは、~なのですが」など。
そうすると、次のような訳文が出来上がります。
訳文 → 「その問題 / それは、先週、お客さんから報告されたものだが / ここでは再現しないのです。」
なお、スラッシュ・リーディング段階での区切り方ですが、一意に定めるものではありません。一般的には、最初のうちは小まめに切って、このやり方に慣れてくるに従って区切りが長くなります。