その気になりさえすれば、誰でも明日からでもできることがあります。

その1) 会議では、いの一番に発言する!
英語圏の人々の発想は、「沈黙」=「愚か」です。 「何も発言しなかった」と「一回だが発言した」の差は、他の出席者に対する印象の観点からは、非常に大きなものがあります。
発言できなかった会議の様子を思い起こしてみましょう。 どうしようもなく難しい場面としては、ネイティブの参加者が複数いる状況で、議論がヒートアップしてきてネイティブ同士が勝手に話し出す時です。 彼らは、興奮してくるとどんどん話すスピードが速くなり余計分からなくなるという、日本人なら誰でも経験している情景です。 一旦、このモードに入ってしまうと、議論を制止するわけにもいかず、割り込んで発言するのがほとんど不可能になります。
従って、この絶望的なモードに入る前に、発言し終えてしまうのがこの技です。
殆どの会議では、事前にテーマが分かっています。 また、会議の流れとしては、発表者による切っ掛けになる説明 ⇒ QA ⇒ 議論と進むことが多いでしょう。 そのQAのところで、日本人の奥ゆかしさをかなぐり捨てて、「ハイハイ」と勢いよく手を挙げて、最初の質問者となってください。 テーマが分かっていれば、予め質問の一つくらいを考えるのは簡単です。 そして、事前にたっぷり英語でハーサルしておくのです。
実は、かれこれ10年以上も前のことですが、この技を授けた当時の私の部下の中に、イマイチ納得しきれない女性が居ました。 心配性の彼女は、自分の発した質問がきっかけに話が盛り上がって、ネイティブの早口を誘発したら聞き取れなくなって困るのでは・・・と考えたのです。 実際に、彼女が心配していたような展開になったようなのですが、「良い質問をしてくれて、ありがとう」と最後に言われたとのことで、喜んで帰ってきました。
Don’t worry too much about what might happen in the future. (後のことは余り心配し過ぎずやってみて下さい。)
これを何度も繰り返していると、会議で発言することに抵抗感がなくなります。

その2) 会議を主催する側にまわる!
傍から見るとハードルが高いように見えるのですが、実は、「会議を主催する(ファシリテートする)側にまわる」のが存在感を示せて、かつ、英語の観点で難易度が低いのです。 つまり、対面の会議でも電話会議でも同じですが、参加者の一人としてよりも、主催者の側にまわるのがお勧めです。 (実際には、会議を招集したり、司会進行をしたり、議事録を配布したりします。) もちろん適当な機会があることが前提ですが、「私やりま~す。」と言い出す人に対して誰も文句は付けないので、機会を探っていると意外に早くそのチャンスは巡ってくるものです。
なぜ、英語の観点から見て、ファシリテーターは楽なのでしょうか? これは、実際にファシリテーターがどのような発言をしているのかを思い出してみると納得が行くと思います。 会議が始まってから終了するまでに・・・
1) 出席者の確認
2) 開会の挨拶的なもの
3) 最初の発言を促す
4) 議論のファシリテーション
5) まとめ(結論、アクションプラン)
6) 締めくくりの挨拶的なもの
などの発言をしていると思います。 当然、発言の機会は相当多いです。 それと同時に、これらの発言の多くが定型的なものであることに気が付くと思います。 上の例だと、4)と5)以外はほぼ定型表現で事足ります。 そして、定型的表現は、事前に準備することが可能なのです。 上記の(その1)とも共通しますが、事前準備可能であることは、精神的に大きな安心材料なのです。 最近では、スカイプ会話という安価な方法もあり、アウトプットの練習すら可能です。
と言っても、「定型文では間に合わない4)や5)は、どうしてくれるんだ?」と疑問に思う方もおられるでしょう。
その場面では、司会進行を担う立場としての役得をいかんなく行使させてもらいます。
「○○さん、皆さんが今していた議論をまとめてくれますか。」
「△△さん、議事録をドラフトして、今日中に私に送っていただけますか。その後、私から全員に配布します。」
という感じで、適任と思われる出席者に仕事として振ってしまえばよいのです。 そして、その依頼をすること自体は、定型的表現です。
まとめると、『ファシリテーターは発言の機会が多く、必然的に目立つ(認知度が高い)。 しかし、事前準備可能な定型的な発言が多いこと、および、役得を活かし他の人に仕事を振ることも可能で、傍から見るほど大変ではない。』と言えるのです。
それに比べ、出席者の一人として参加する会議の場合はどうですか? きっと、あなたの発言には、何か創造的なものや新しさが求められているはずです。 それも、議論の展開をみて臨機応変に考えないといけないので、事前に準備できるものは少ないでしょう。 言葉を換えると、出席者としての発言は、非定型的にならざるを得ず、従って、事前準備ができないのです。
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以上、英語の会議に望む上でのヒントを2つご紹介しました。 もちろん、それに英語スキルアップが伴っていると鬼に金棒です。