「例文で覚えるように・・・」と言われる理由

「英単語/熟語を定着させるには、例文で覚えなさい・・・」と言われますね。  にもかかわらず、多くの人がそれとは真逆のやり方(英単語/熟語とそれに相当する日本語を並べて1:1対応させて覚える・・・)をしています。 

「1:1対応させて覚える・・・」というのは、実際には、単語カードなどを作って頻繁に見返すことなどをイメージすれば良いですね。


例文だと覚えることの量がずっと多くなってしまい非効率(遠回り)のように感ずるので、多くの人が単語カード方式に頼るのは無理からぬところです。しかし、実際には、例文で覚えるほうが結果的には効率的なのです。今回は、その理由を考えてみましょう。

理由その1) 英語と日本語は根本的に違う言語であるため、英語の語句と辞書に載っている日本語訳が完全に1:1に対応することは稀です。

 

単純な語句、例えば”dog”は、日本語の「犬」と1:1対応すると考えても問題ないでしょう。 しかし、少し抽象的なものになると、そうは行かず、意味する範囲が違ったり微妙にずれているのが普通です。 良い例文によって、英語の語句が本来持っている意味合いを感じ取ることが出来ます。 例えば、次のような例文はどうでしょうか。

 

”By failing to prepare, you are preparing to fail.”(準備を怠ることで、あなたは失敗に向かう準備をしていることになる。)

 

”fail = 失敗する”と機械的に覚えていると、「努力したのに出来なかった」という先入観を生みます。 しかし、実際の”fail”は、もう少し意味する範囲が広く、そもそも努力をしなかった(怠る)という状態も含むのです。 上の例文だと、このことが良く分かりますね。

 

 

 

理由その2) 例文として覚えることで、既に記憶に定着している語句に覚えようとしている語句を関連付けることが出来る。

脳は、何処となくインターネットと似ています。 脳が記憶できる量(記憶容量)に関しては、人間の一生に対して、実際上無限大と言ってもいいほど大きいと言われます。 インターネットもよく似ていて、これだけ多くの機器が接続されていると、事実上無限大の情報が蓄えられていると思って差し支えありません。 

 

従って、脳でもインターネットでも問題になるのは、如何に、必要な記憶を探し出せるかという「検索」のところなのです。 どれほど多くの量が記憶(蓄積)されていても、探し出すことが出来なければ、何の意味もありません。 インターネットに於けるGoogle検索では、関連付け(リンク)が多い情報ほど、検索結果の上位に表示されます。 脳も似ていて、ある情報に対しての関連付け(リンク)が多ければ多いほど、それを記憶から取りだしやすいのです。 例えば、上の例文を覚えることで、”prepare”と”fail”の間には強固なリンクが張られるでしょう。

加えて、その例文が自分の経験や興味に深く関連したものであると、その経験や興味との間にもリンクが張られ、リンクの数がどんどん増えていきます。 例えば、”precisely”という副詞を私は次の例文で覚えています。

”That’s precisely the idea.”

自分で上手く表現できず苦労している時に、相手が「それって、こういう事?」と的確に言い当ててくれる場合があります。 その時に、「そうそう、正にそれを言いたかった。」と反応する場合に使える言い回しです。 誰にでも、そうした「経験」はありますよね。 それに加え、私が何十回も繰り返し見た好きな映画(「博士の異常な愛情」という知る人ぞ知る、マニアックな映画です。あの「2001年宇宙の旅」で有名なスタンリー・キューブリック監督の作品)に出てくるセリフなので、「興味」との間にもリンクが張られ、絶対に忘れることがないわけです。